五條瑛
スリー・アゲーツ 三つの瑪瑙
集英社文庫
定価 本体952円+税
ソウルから日本へ、北朝鮮の大物工作員・チョンが潜入した。大量の偽ドル札とともに。果たして彼の任務とは何なのか? 米国防総省の在日情報機関に所属する分析官・葉山はチョンの残した文書の解読に成功するが、そこには意外な事実が隠されていた。 同じ頃、平壌から一組の母娘が中朝国境を目指していた−−。(裏表紙より)
五條作品の根幹のテーマともいうべき「家族」が今回のテーマでした。
チョンの2つの家族への愛、2つの家族それぞれの強い絆、葉山の父へのコンプレックス。
読み進めるにつれてどんどん痛くなってきました。「家族」というものを本当に考えさせられましたね。
葉山は「プラチナ・ビーズ」に比べて、ずいぶんと成長しているように思います。
なんせ、エディや洪さんとある意味対等な取り引きしてますしね。次回も頑張って欲しいものです。
「これだけは忘れないでくれ。君は父親に愛された、必要とされた息子だ」
P712 L10
* * *
脱走した米兵の惨殺死体が日本海岸で発見された。それがすべての発端だった……。 同じ頃、米国防総省の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山は調査中にある情報を入手する。 北朝鮮の権力中枢で、何かが起きている−−。鍵を握る謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは?(裏表紙より)
やっぱり、五條作品は面白いです。700ページを超えても読ませることができるというのは、一種の才能だと思います。
今更ですが、日本人として、真面目に国際社会について考えないといけないなと思いました。
色々なことが起きている今だからこそ、もう少し、世界の中の“日本”について考えてみるべきではないのでしょうか。
“本格スパイ小説”のはずですが、作品から葉山のアクションが浮いているような気がして仕方ありません。
やっぱり、アクション担当は坂下でしょう。
ただ、もし葉山のアクションが無くなってしまった場合、華麗なるサーシャ様の登場が減ってしまうとは思いますが(笑)
この作品の葉山は、アナリストとして未熟さすら感じられますが、鉱物シリーズ完結編である「ソウル・キャッツアイ」までには、
サーシャ様と渡り合えるぐらいの立派なアナリストになってくれることを期待したいと思います。
「どうなるんだろう……ではないんだよ」
(中略)「どうしたいか。どうなってほしいか……その気持ちなんだよ」
P731 L15〜
* * *
「夫を愛しているの」その依頼人は昔愛した恋人だった。
キャバクラの女とともに会社の金を持ち逃げした夫を捜してほしいという。なんという役回りだろう。
そんな夫でも、臆面もなく「愛している」と繰り返す女に呆れつつ、私は問題のキャバクラに出かけた。
だが、そこでわたしはキリエという名の、完璧な美少女に出会った……。(裏表紙より)
実は、五條作品の中で、エディさんに次いで桜庭さんが大好きです。
ある意味、五條作品の主人公の中で一番ヘタレな人ですが、 私のツボにヒットしてくれました。
桜庭さんの檜林王子や渚ちゃんとのやりとりも捨てがたいのですが、やっぱりキリエちゃんのクールさにメロメロな桜庭さんが気に入っています。
キリエちゃん格好良いしねぇ。
「そう。好きに生きて」
P127 L6
* * *
日本、米国、北朝鮮……三つ巴の諜報戦(スリーウェイ・ワルツ)を、最後まで踊り続けるのは誰だ?
「墜落」から16年、悪夢は再び放たれた! (帯より)
エディさんがもっと活躍してくれると思っていたのですが、
テディ・ベアクッキーにショックを受けている某部下の方が活躍してました。
鉱物シリーズの番外編という感じです(サーシャ様が登場しませんが)。
由沙さんがめちゃくちゃ格好良かったです。最初のあたりは興味がなかったのですが、話が進むにつれて好きになりましたね。
五條作品にこんなタイプの女性が登場するとは思いませんでした。彼女には是非とも本懐を遂げていただきたいです。
「パーティの招待状がきた」
「どんなパーティですか?」
「3Way」
P118 L15
* * *
「もう一度俺と一緒に夢を見よう」
“火蛇”は言った。
かつてスパイだった男の目に映る、現在の中国。(帯より)
五條先生の短編はやっぱり面白いのですが、仲上さんが現役スパイだった頃の話なんかが読みたくなりました。
もっと情熱的だった仲上さんが見てみたいです。それに、この後にありそうな仲上さんとラウル・ホウの泥沼っぽい関係も気になります。
第二弾が出るなら本当に読みたいです。できれば、今度は長編で。
お前の中の四分の三、俺の中の四分の一。合わせれば、何かができると信じていた。
P329 L11
* * *
最愛の姉の、突然の訃報。
悲しみに沈み、カナダから帰国した男を待っていたのは、姉がこの世に残した、たった一人の甥の誘拐だった。
甥の解放の条件は、ある「仕事」−−。(帯より)
「ヨリックの饗宴」と続けて読んだせいか、少し似ている部分が感じられました。
多分その原因は、両方の作品が兄弟をテーマにしていることだと思います。両方とも事件の発端は主人公の甥が関わってきますし。
でも、似ていることを抜きにしてしまえば、本当に面白く読めました。
個人的にはグースが気に入りました(笑)ラストの辺りの彼女は本当に可愛いです。
「−−俺は人は撃たない。氷山しか撃てないんだ」
P440 L18
* * *
ハムレットの登場人物になぞらえられた人々が長年にわたって隠し続けてきた日本政府の機密とは何か? 大物政治家や、アメリカを巻き込んだ熾烈な諜報戦が始まった!(帯より)
さすが五條瑛、本当に面白かったです。
“ヨリック”とは誰なのかという謎を追っていくストーリーも良かったのですが、私的には、
主人公の和久田とその兄の栄一、栄一の息子である裕之の三人の何とも言いようのない関係が大好きです。
五條作品の登場人物には良い男が多いですが、これにもしっかりと良い男が出てきました。安心して読んでいただけると思います(笑)
濃すぎる血は災いを産む。そして、歪んだ愛情も。
P411 L20
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||